7932 ニッピ(JQ) 3260円 +10円
減益ながらも評価できた第1四半期から一転して今回の第2四半期は評価すべき点がほとんどありません。国内景気の減速や中国市場の不透明感がそのまま決算の数字に現れました。第2四半期は売上4%増221億円と増収を維持したのに、営業益は85%減の1.9億円、経常78%減の2.8億円、純益83%減の1.2億円、一株純益45円。これではいくら強靭な財務内容と言っても強気買いはおろか買い場探しを積極化することさえできません。第1四半期は営業益3.2億円で経常3.2億円ですから、7~9月期はわずかながらも赤字だったことになります。これを受けて通期予想を下方修正。大幅な減益となります。売上6%増450億円、営業益59%減8.2億円、経常56%減8億円、純益57%減4億円、一株純益139円予想に下方修正。これでは来期業績回復を確認しないと強気買い積極買いできないことになります。あるいは四半期(次の10~12月期)が前四半期増益に転じることでも確認しないと積極買いできないことなりました。セグメント状況を見ると・・・・①コラーゲンケーシング→7~9月赤字になった最大の理由はこれ。やはりインバウンド需要などを背景にして国内販売は底堅く、輸出販売も増加したものの、夏場の落雷や台風等のために工場の稼働率が大きく低下して、更にいつの間にか新工場を建設してその償却負担が生じています。そのダブルパンチのために売上10%増48億円ながら営業益は2.1億円の赤字に転落。前期は5.6億円黒字ですから、前期比7.7億円も減益となりました。この第2四半期の数字になるはずです。ただ、減価償却は今後大きな処理は必要ないはずで、課題だった国内販売も天然羊腸回帰の流れが変わりつつあり底打ちの兆しが出てて、輸出も拡大し始めたので、今後回復はし始めるはず。それがいつになるかが注目です。私の予想では1~3月期(第4四半期)からとなるのではと考えています。②ゼラチン関連→食品や健康食品向けに需要は堅調。魚由来のために原材料が不足して製造コストが高くなった状態が続いています。売上2%増48億円で営業益39%減3.9億円。減益ですが第1四半期からの変動なし。第1四半期も第2四半期も今のコスト増でも3か月で2億円の営業益は確保できています。コスト低下してくれると3か月で3~4億円の営業益を稼ぐはず。これも回復は1~3月期からを考えています。③化粧品→ニッピコラーゲンやスキンケア化粧品など売上好調で12%増の21億円。しかし広告宣伝費を集中投入したので営業益は50%減の1億円。広告の成果は年末年始商戦で表れるでしょうから、こちらは第3四半期で営業益が回復し始めるでしょう。④皮革→売上は0%増の54億円、営業益は13%減の2億円。自動車ハンドル用革は中国市場で踊り場の模様。また価格を引き下げたので利益率は低下したとのこと。とは言え、マイナスの影響は最小限に抑えていますから、第3四半期以降も安定的に推移できるでしょう。⑤賃貸不動産→莫大な含みを活かして安定的。売上3億円、営業益3億円。いっそ難波の大規模駐車場でも売ってもらって成長原資を確保してくれれば幸いなのですが。⑥食品その他→食材輸入やiSP細胞関連などこれも安定的。売上4%増44億円、営業益4%減1.1億円。⑦感想→会社の下方修正の数字を見ると、多分私と同じで、利益回復し始めるのを第4四半期(1~3月期)からと想定して数字を立てたと思います。言い換えると、もしこの10~12月から回復を始めてくれれば、わずかならも上方修正して着地することもできるかもしれません。とは言え今はしばらく様子見姿勢。資料を確認して精査して早めに買い場探しを開始できるかどうか判断したいと思います。ちなみに一株純資産は9600円。バランスシートは、主な資産項目は現金が43億円、有形固定資産が403億円、株券が45億円。主な負債項目は短期借入金が128億円、長期借入金が66億円。膨大な不動産資産から考えればやはり強靭。手持ちの一部不動産でも売却して、成長原資を確保すると同時に株主還元でも行ってもらいたいもの。あるいは同じく膨大な含みを活かして不動産事業に本格参入したユニデンHDのような不動産事業を拡大し始めてもらいたいものです。資料の開示後に詳細を。それまでは様子見姿勢。株価は下値での小動き収斂の持ち合いレンジを形成しているでしょうから下値の不安もありませんし。