6928 エノモト(東2) 1552円 +37円
昨日、帰京の最中に確認した同社の第1四半期の数字はがっくりと肩を落としました。当初の予定では売上は5~6月減速の兆候があったので前期の52億円には届かずに49~50億円程度かと予想していました。しかし営業益は自動化設備導入などで利益率が上昇して3.0~3.5億円か前期の3.8億円前後で着地するのではと考えていました。しかし着地は、売上6%減48億円、営業益30%減2.6億円、経常26%減2.8億円、純益31%減1.7億円、一株純益26円で着地。がっくりでした。ただ、中身を眺め始めていくと少しは気持ちに落ち着きと明るさを感じることができました。明るさを感じたまず第一点は、経営成績に関する説明の中の一文です。一部製品に関して在庫調整や原材料価格の上昇が下方圧力になっているが(スマホの需要減のことを言っています)、同社の位置する電子部品市場への予測自体に変更はなく、このような状況下の第1四半期期間で、同社は収益力向上のための製造コスト削減に向けて製造工程自動化効率化を組織的(国内外で全社的にということ)に進めているとコメント。同時に従前以上の品質向上にも努めていると。自動化システムなどの費用先行が減益の一因と考えると、四半期ごとに収益性が向上して第2四半期か第3四半期には前期比で増益に転換して上方修正につながる期待がいまだに存在していると判断しておいて良いと考えます。また事実損益計算書を見ると、売上から原価を引いた総利益は前期の9.3億円に対して8.1億円。設備導入で少し総利益率は落ちたものの0.5%程度)ものの、販売管理費は5.5億円から5.4億円に減少させてコストコントロールを行っています。この損益計算書から言えることは、同社の堅実なコスト管理能力をうかがい知ることができたということです。この点はまず評価できる点。そしてもう一つ明るさを感じ取れた一点は、セグメント状況の中にあります。①IC・トランジスタ用リードフレーム・・・自動車向けは引き続き堅調とコメント。一部民生品(スマホのこと)関連のリードフレームは受注減で、売上は7%減の18.4億円。この数字は多分会社もこんなもののと考えていたはず。今期の売上利益の伸びを無いに等しいくらいに小さくしているのはスマホ関連用品の受注を減少すると見込んでいるから。これはほぼ会社の予定通りのはず。②オプト用リードフレーム・・・は自動車向けは言うに及ばず、大型ディスプレイ関連やアドバタイズメント関連向けにほぼ絶好調。売上6%増の7億円。そして問題はここ③コネクト用部品・・・やはり自動車向けは好調を堅持して文句なし。しかしこれもスマホ向けが低迷して売上12%減の20.4億円。会社もこれは想定外だった模様です。なぜならこうコメントしているから、スマホ向け部品の北米向け出荷(どう考えてもアイフォンのこと)が計画より後ろ倒しになったために減収だったとコメントしている点です。つまり、予定通りに出荷していれば、最初に書いたようにわずかに減収でも前期前後の3.5~4.0億円で着地できたことになります。会社もそう考えていたのかもしれません。残念です。しかし、この北米メーカー向けの出荷はキャンセルになったわけではありません。会社がコメントしたように出荷が後ずれしただけのこと。ならば第1四半期の減益スタートをさほどに悲観する必要はないということになります。しかも、台湾の世界最大受託半導体TMSCのことをコメントしました。TMSCの決算発表の席で秋に発売させる新型アイフォン向けにハイエンドスマホ向けの半導体需要が想定以上に回復する予定とコメントしていることを紹介しました。ならば、巨人と子供ほど以上の違いの事業規模ながら、同社もTMSC同様に秋に向けてスマホ向けのコネクタ用部品やリードフレームの需要は回復することになります。回復するようになるというよりすでに7月に入り受注が回復している可能性。秋に新型アイフォンが発売になるのですから。これらの隠れた好内容を評価して、週明けに押せば強気買いとします。しばらくは下値確認や下値固めをするでしょうが、8月の盆休み明け以降に昨日の高値1575円を抜き、公募増資価格1753円回復に向かうものと予想します。また、早めに昨日の高値1575円を抜きにかかる可能性もあります。5日線1424円と13週線1457円の1450~1400円レンジを下値サポートレンジと考え1450円割れないし接近を強気買いとします。再騰サインは25週線1549円回復からとして、昨日の高値1552円を抜けば再び強気買いとします。押すとは考えているものの、内容を読んでそんなに悪くないと思う投資家が多いようなら、あまり下げずに1500円前後で下値をサポートする可能性も。いずれにしても来週以降先週引けの1552円を抜いて来る動きを確認すれば、上げ再開と考えて強気買い再開することとします。最後にバランスシートは、現金が38億円で有形固定が93億円、株券8億円が主な資産項目。負債項目は短期借入金約10億円で長期借入金は1億円。前期からまた借金は減少。財務内容は更に強靭となりました。一株純資産は2120円に上昇。財務バランスは相変わらず満点で文句なし。ちなみにこの第1四半期は前期と比較すると大幅に減益ですが、前々期の売上44億円、営業益2.2億円よりは上です。また同社は第2四半期から利益が本格化。第2四半期は前々期の5.3億円以上の営業益で着地することは間違いないでしょうから、前期の営業益8億円近くで着地できると予想します。もし、アイフォン向けが完全に復調して営業益8億円前後で第2四半期を終えると、3月通期は上方修正期待が浮上するか上方修正する可能性。あるいは、第3四半期で増益転換し第3四半期で上方修正することになるかのいずれかと予想します。7/13(リードフレーム最大手三井ハイテック目標株価は買いで2600円・2000年高値4175円を目指すを予想)6/27(前期加賀電子同様に今期最高益更新で上場来高値を更新へ・通期資料/概況&経常状況概況&売上と利益推移&製品別業績概況&製品別見通し&新規事業/安定した製品受注とコスト削減努力継続で今期更に収益性向上確実視)6/21(堅実経営で100年企業へ・18期ぶりの最高益更新予想で更に省人化効率化で収益向上へ・2000年高値4175円更新へ・固定高分子形燃料電池用新型セパレータ開発して同社も完全固体燃料関連株)6/20(1410~1221円で32.2万株出来高蓄積・大和住銀投信投資顧問が新たな大株主登場)6/13(買い残整理すでに完了・ずーと実質無借金で堅実経営・本来なら増資の必要もなし・第1四半期は好スタート可能性大・今後の見通し再紹介・将来的に株価は2倍にも・深押しで目標修正)6/7(リードフレーム需要は底堅い模様)5/24(大和証券投信の持ち株1%低下に関して)5/23(通期決算おさらい/経営成績の概況&着実に利益率上昇中/セグメント/今後の見通し&売掛金から第1四半期スタートダッシュ成功の可能性/実質無借金好財務)5/10(文句なし通期・18期ぶり最高益更新の今期予想・セグメント状況・目標修正・公募増資価格1753円を上回り息の長い上げ開始)検索チェック。目標株価Ⅰ【短期目標①1750~1800円(公募増資価格1753円・50週線回復・週足陽転)②1950~2000円(レシオ10倍強・週足完全陽転)③2150~2200円(17年高値2161円・レシオ11倍強)】~ 目標株価Ⅱ【中長期目標①2200~2300円(レシオ12倍)②2450~2500円(レシオ13倍)③2650~2700円(レシオ14倍・07年高値2700円)】は上方修正期待の浮上はまだのためにこのまま据え置くことにします。上方修正期待の浮上や修正発表そのもので強気に再設定する予定とします。SP。